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脱初心者!弓道の基本、弓返りに必要な3つのポイント【後編】

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<あらすじ>

・弓は勝手に返るもの

・弓返りは『素振り』が必要

・弓の下を回してやる

<あらすじここまで>

 

 

前回は弓返りの効果についてご説明しましたので、今回は実践編として練習方法をご紹介します。

 

■回るのが得意な弓と、不得意な弓がいる。

弓返りにはまず弓を選ぶ必要があるんです。弓にも出来不出来と個性があり、

使用していくうちにどうしても射手のクセにより変形していき、弓もクセをもってしまいます。

射手のレベルが高ければある程度クセをカバーすることも出来ますが、

まずは弓返りに適した弓を探しましょう。特に難しいことではありません。

①弦を張った時、矢を番える所(中仕掛)が弓の右端ギリギリを通っている。

②素引きをした時に、弓手親指が的方向に必要以上に倒れていかない。

まず①については、左右のバランスを確認しています。弦を調整しない状態で右端を通っていない場合、弓の回転運動が弱く、回りづらい弓になります。

高校や弓道場に弦が中心を通った弓しか空いていない!という場合は弭(はず)の部分を右に調整してやれば何とかならなくも無いですが、毎回やらなくてはならないので出来れば右端のものを選びましょう。ちなみに、大幅に弓の右を通っている場合は弓の形が崩れていて、会の状態で筈が抜けたり、弦が抜けたりしますので注意しましょう。

②については、弓の上下バランスを確認しています。和弓は離れの振動を最も抑える事が出来る下から1/3の位置に握りが設定されていますが、たまに上の部分の反発が弱く、弓の上方が的側に倒れる弓があります。(特に弱弓に多いです)これも引けなくは無いですが、離れ時のスリコギ運動が大きくなるため出来れば避けたい所です。

弘法筆を選ばず、と言いますがプロほど道具に敏感です。道具にクセがあっては自分のクセなのか道具のせいなのかが判別しにくくなりますので出来るだけ気をつけてあげましょう。

 

■手の内の作り方

前回のラストで弓返りは最低限の力で弓を支える重要性を説明しましたが、

これを会得するためには弓を支える感覚、握る感覚、廻す感覚を覚える必要があります。

まず、弓を握ります。弓を握る時は弓の的側の平らな部分が人差し指の付け根から小指の付け根までべったりつくようにします。そして中指、薬指、小指(三指)の先を軽く弓に当て、挟むように支えます。親指は付け根を軽く当てておきます。

すると、弦が手首から約90度離れた状態になると思います。

これが基本の形です。

握った状態で弦の中仕掛を妻手指で手首側へ押し回してみて下さい。

弓手親指にトルクが掛かっていくと思います。

これに抵抗するように親指の付け根に力を入れ、支えて下さい。

弦を引かずに回転だけさせて弓手に近づいた状態、つまり会の状態になったら

妻手を離してみて下さい。元の位置に戻ったら成功です。

妻手を離しても弓が動かない場合は、弓手を握りなおしています。

つまり、ねじりの力に負けて一度緩めてしまっています。

理想では、会の形でこの基本の形に手の内が出来ていなければ弓返りが出来ません。

初めはとっても難しいですが、何度も練習するうちに親指の付け根に筋肉が出来て

出来るようになります。難しいことのタネ明かしに『手の内を明かす』というように、手の内が最も難しいものです。

 

指だけで回転運動を行い、出来るようになったら素引きをします。

取りかけで手の内を作り、打ち起こして、大三(ある人だけですが)から引き分け、

フルドローから弦を戻します。弓を支えられていれば元の弓手手首から90度離れた位置に弦が戻ります。親指の付け根で今まで弓を支えてこなかった方はかなり辛いです。可能であれば、弓を弱いものに替えて練習するといいでしょう。

 

弓返りは『素振り』が必要

もう一つ重要な事が『素振り』です。基本の形から、手首を曲げずに肘から弓を振ってやって、弓を回転させます。回転させるためには弓を握ることを一旦やめなければならないため結構怖いです。矢をつがえず、弦を張った状態でクルクルと弓を廻す練習をしてやって、回転させる動作に慣れなければ恐怖心から弓を握ることから抜けだせません。遊ぶように、立ちを待っている時、巻藁を待っている時、暇を見つけてはクルクルと弓を回して感覚を養いましょう。

 

弓の下を回してやる

手の内の基本の形が出来て、素振りを十分に出来るようになったら、後はもう少しです。後は実際に弓をひく事で、ある日突然出来るようになります。

コツは、弓の動きを想像して、助けてあげる事です。

和弓の握りは和弓は離れの振動を最も抑える事が出来る下から1/3の位置に握りが設定されていると説明しましたが、逆に云えば下に近い部分を持っていると言うことです。

つまり、離れの瞬間から弓は復元を開始しますが、復元する力は下から1/3がとても強いのです。まず、握りから下をくるりと回して、その勢いで矢を飛ばしているという感覚を覚えて下さい。下からすくい上げるように矢を飛ばす力が的へ向かい、回転しながら抜けていく。手の内が出来ていれば、少しずつですが感じる事が出来るはずです。

そこからだんだんと上にも意識を伸ばしていって、最終的には弓の上端と下端が同じ様にくるりと回転して矢を飛ばす。そういう意識が出来れば弓返りは完璧です。

弱弓は弓手の小指と親指付け根で支え、強弓は中指と親指付け根で支えてやる程度の意識の使い分けでどんな弓でも弓返りさせることが出来るようになります。

 

■手首の振りこみに気をつける

最後に、的中率の良い人ほど弓手手首を離れで振る人が多くいます。

手首の振りは良い離れを誘発するため方法としては私は否定しませんが、

弓手親指が負けてしまい、握りなおしているために弓返りのきっかけとして

無意識に振りこみをしている人は、出来る限りやめたほうがいいと思います。

振りこみは人為的な行動ですので、弦の復元スピードにはどうしても間に合いません。

弓返りのスピードが遅くなり、矢勢の減少に繋がるばかりか手首の炎症、振りこみ量の無意識の増減により的中のムラを引き起こします。

的中のムラは早気にもつながります。

弓返りは弓にまかせて、支えるだけ、という意識を持ちましょう。

 

最後になりましたが、的中を求める人、また高校生や大学生で高い的中率を出している方を私は綺麗な射形の高段位の先生方と同じくらい尊敬しています。

弓返りが出来なくとも、的中が出なくとも、射形が汚いと言われようとも、弓道を好きで、楽しんでいれば何ら恥じる必要もなく、悪く言われる必要もないと思います。

どうか皆さんのよりよい弓道生活への刺激となりますよう願い、この文章を締めくくらせて頂きます。

 

それでは。